
2023.05.08 UP
- 5月8日(月)朝会「自分には価値があるんだ」
- 新入生を迎え一か月、新年度1学期もゴールデンウイーク後の充実した季節を迎えます。多少のストレスもあったかもしれませんが、一日一日を大切に過ごし最善を尽くしてきた皆さんのここまでの努力に敬意を表します。
将来の独り立ちに向けた個々の努力は大分国際情報高校という共同体の中で培われていきます。この共同体への所属感を皆さんはどう感じられていますか?
私は18歳で実家を離れるまでは世界の中心に自分がいました。周囲の人たちは自分をどう支援してくれるのか、自分になにをしてくれるのか、心の中は自己中心的な考え方が渦巻いていました。家を出て大分県を離れ大学という新たな共同体に所属したときに、「私は人生の主人公ではあるが、世界の中心ではない。共同体の一部、全体の一部なんだ」と痛感しました。自分が世界の中心だととらえても周囲の人々は私の期待を満たすために生きているわけではないので、自分の期待が満たされないときに「裏切られた」、「仲間ではない」と感じ仲間を失っていくことになります。自己への過度な執着は、仲間を失い孤立してしまうことは容易に理解でき、自己への執着は他者への関心に変わっていきました。更には大学という共同体に所属する人々はすべて私の仲間だという感覚に発展していき、人類みな仲間だというところまで実感できるようになりました。
4月28日(金)、3年生は城島高原パーク、1・2年生は平和市民公園での春季親睦オリエンテーションが実施されました。進路決定までの忙しい日々を前にした3年生の思い出作りを思い描きながら、平和市民公園での1・2年生の笑顔を一望しているとき、大分国際情報高校に所属していることに喜びや誇りを持つことができました。誰一人ここに集う人々に、「裏切られた」とか「仲間ではない」という雰囲気を微塵も感じなかったからです。他者に関心を持ちながら満面の笑顔で他者と交わる姿に、仲間意識を土台とした安らぎを感じ取ることができました。
共同体に所属することによる安らぎを感じ取れれば、自分はここに居ていいんだ、自分には価値があるんだと感じることができます。ある書物に「人は自分に価値があると思えた時にだけ勇気が持てる」と書かれていました。本校で最終的な生きる目標として掲げている「心豊かな人々とともに幸せに生きる」を達成するには「勇気」が必要であると昨年現2・3年生には何度も言ってきました。1年生の皆さんもこの共同体の中で自分には価値があるんだと感じ、幸せになる「勇気」を持ち続け、この共同体に所属し毎日約束もなしに会える喜びや誇りをさらに高めていきましょう。
2023.04.10 UP
- 4月10日(月)5限対面式
- 6日(木)の始業式で242名の在校生と、新年度、幸せなろうとする勇気を持ち前進することを確認しました。そして7日(金)、156名の新入生を迎えての入学式が挙行されました。混迷極めた社会情勢の中、計り知れない努力を重ね本校への入学を果たした新入生と、本校の創始者渡辺善市先生とその歴史について、更には学校教育目標が「夢の実現力と心豊かな人間性の育成」であること、そして3つの校訓「愛と犠牲の精神」「質実貢献」「実践躬行(じっせんきゅうこう)」についてその精神を入学式の中で共有しました。
本日の対面式の意義は、それぞれの目標に向かって前進していく在校生と新入生が心を一つにして大分国際情報高校という共同体の一員として仲間意識を感じ、これから訪れる困難を集団の力で克服していくことを確認することにあります。本校卒業時に誰もがそれぞれの幸せな人生に向けたスタートができるよう、3つの学年の交流が温かく日々展開されることを願います。義務教育を終えて大人の第一歩を踏み出す新入生が自信と誇りを持てるよう在校生の皆さんの温かい支援を期待します。
コロナ禍の中、古い旧態依然とした考え方から脱却し新しい時代の息吹を前面に出した教育活動を生徒・教職員が一体となって進めていくことを全員で確認し、対面式の挨拶といたします。
2023.04.07 UP
- 令和5年度入学式式辞
- 校庭や校舎を縁取る木々も緑豊かに色付いてきました。
すべてのものが躍動の気に満ち、新しい時代の香りも漂うこのよき日、学校法人渡邊学園 大分国際情報高等学校の入学式を挙行できますことは、誠に光栄の至りと心から感謝を申し上げます。
ただ今入学を許可いたしました156名の新入生の皆さん、入学おめでとう。教職員一同また在校生一同、皆さんの入学を心から歓迎します。
本日、皆さんの努力が実り、晴れてこの喜びの日を迎えることが出来ましのは、皆さん方の努力はもちろんのこと、保護者やご家族の励ましや、物心両面に渡る暖かいご支援があったからこそであります。先ずは感謝の気持ちを持っていただきたいと思います。
皆さんは一ヶ月前の地元中学校で、多くの仲間と、それぞれの進む道での健闘を誓い合い、今日の日を迎えました。その志を、この大分国際情報高校の3年間ずっと持ち続け、大きな飛躍を遂げてください。いつか故郷の地で小中学校の仲間と再び集まる日には、成長した姿を見せてあげてください。
さて、本校は、昭和11年ベルリンオリンピックにおいて、東京・ベルリン間の写真電送を成功させた渡邊学園創設者渡邊善市先生によって、昭和31年九州電波専門学校として別府市流川14丁目に開校しました。昭和34年に大分市に移転し、昭和41年から大分電波高等学校、平成10年からは大分国際情報高等学校と校名を変えながら、激動の昭和・平成・令和を駆け抜けてきました。その間、新しい時代の多種多様な進路への対応を見据え、情報化社会・国際化社会に貢献できる普通教育と専門教育を施し、これまで多くの有為な人材を卒業生として輩出してきた、創立「66」年目を迎える高等学校です。
一人一人を大切にし、自立した夢の実現力と心豊かな人間性を持った人材を育成していくことを学校教育目標に掲げ、生徒たちは自己実現に向け日々切磋琢磨しています。
さて、入学にあたり、まずしっかりと胸に刻み込んでもらいたいことは、3つの校訓です。
1つめは「愛と犠牲の精神」です。
何のために生きているのかと思い悩むときに、だれもが到達する人生の極意です。多種多様な人々が混在する複雑な社会において、共通する究極の思いで社会貢献していくことが求められています。
2つめは、「質実剛健」です。
自分をよく見せようと飾るのではなく、誠実で心も体もたくましい様を言います。人として中身をしっかり充実させ誰からも愛され、心豊かな人々に囲まれて健康的な幸せな人生を送ることを目指します。
3つめが「実践躬行(じっせんきゅうこう)」です。
言葉だけでなく、他人の力を借りずに実際に行動してみることが大切であるという意味です。
高校卒業後は自ら動き、自ら計画・準備した日程での、独り立ちした生活が待っています。そしてその生活が一生続きます。この3年間はおそらく100歳以上生きる事になる皆さんの人生の準備期間となります。進路決定や卒業がゴールではなく、今後、大分国際情報高校で培った力によって、未来の職場や地域で、幅広い世代の方々に慕われ、頼りにされ、生き生きと活躍し、更には心豊かな人々に囲まれ幸せに暮らすことがゴールであると考え前に進んでいってください。多くの仲間や教職員・卒業生・地域の方々そして保護者の方が独り立ちの準備をするあなた方に暖かい支援の手をさしのべることでしょう。
悩みや不安を抱えていても、日々約束しなくても大分国際情報高校に集まれる幸せを感じ、決して夢をあきらめることなく、最善を尽くし必ず訪れるチャンスを待ちましょう。
ここで、保護者の皆様にお祝いとお願いを申し上げます。お子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。教職員一同、本日より責任を持ってお子様の教育に当たります。しかし真の教育は学校だけで実践できるものではありません。ご家族のご協力が欠かせません。朝の「行ってきます」、帰宅しての「ただ今」に始まる挨拶や礼儀は、ご家庭でも身につけさせて下さい。時には厳しく指導し、そして時には優しい愛情を注いで、家庭と学校が密に連携して心豊かな人間の育成を図っていこうではありませんか。
3年後の新入生の皆さんの大人びて晴れ晴れとした表情で臨む卒業式を楽しみにして、入学式の式辞とします。
令和五年四月七日
大分国際情報高等学校
校長 木戸孝明
2023.04.06 UP
- 4月6日(木)令和5年度一学期始業式式辞「夢の実現力」
- 3月25日(土)14:30より桜が咲き始めた別大興産スタジアムで第152回九州地区高等学校野球大会大分県予選の1回戦で、本校野球部が秋の大会では敗れた別府翔青高校と対戦しました。試合は本校岩田君の粘り強い好投もあって3対1で1回戦突破を果たしましたが、冬を越す間に大きく成長した姿を見せてくれました。積極的で活発になった打撃、安定感を増したミスのない守備、1塁の梅木君を筆頭に心の底から湧き出る掛け声等、高校生の季節を超えての成長は秋のシーズンを終えてからの地道な努力が感じられ清々しい気持ちになります。数多くの緊迫した場面で自ら考え自ら動き最善を尽くそうとする姿に成長の姿が見られ大人びたチームカラーの片りんを見せてくれました。「最善を尽くしチャンスを待て」を合言葉に夏に向けて更なる活躍を期待します。
さて、春の訪れを感じながらも、新たな目標に向かって飛び立っていった卒業生や先生方の思いがまだまだ残る本日、2023年令和5年度始業式を、新3年生・2年生になった皆さんと挙行できることを大変嬉しく思います。一つ学年があがり自分の成長を肌で感じ取っている方もおられることでしょう。中学校を卒業してここまであっという間に大人っぽくなった皆さんの成長は周囲をたびたび驚かせます。今年度も学校教育目標を「夢の実現力と心豊かな人間性をもった、社会が求める人材の育成」として、保護者の方々と連携して皆さんの更なる成長を見守っていきたいと考えます。
明日挙行される入学式を挟んで実力考査・対面式そしてクラスマッチで幕を開ける新年度の冒頭に、皆さんへ恒例のお願いがあります。それは皆さん自身の将来の幸せなイメージを描いてみてほしいということです。個々で時期は異なりますが就職先の決定及び充実した社会人としての毎日、また良好な人間関係の下での穏やかな笑顔が満ち溢れる日々の暮らし等々・・・。幸せのイメージが描けたら、絶対にあきらめない「勇気」と具体的な力が必要になります。本校での学びを含めて修得した基礎学力、コミュニケーション能力含めた良好な人間関係を構築する力、相手方に心地よさを与える挨拶や身だしなみや礼儀作法、心身の健康管理能力、政治経済等の社会・労働知識・・・学校教育目標に掲げている夢の実現力を持つことはこのような力を身に着け発揮する「勇気」を持つことから始まります。勇気をもって幸せな状態を獲得しようと日々努力している方の表情はいつも美しく魅力的です。その方の周囲に集まる方々も正の連鎖で美しく心豊かな雰囲気に包まれることになります。本日の始業式の皆さんの表情は、「さあ始まるぞ」という日であるからか、いつも以上に美しく輝きを感じさせます。
さて明日の入学式で156名の新入生を迎えることになります。大分国際情報高校という共同体への加入に魅力を感じてもらえるように、2・3年生と教職員がこの始業式を通して心を一つにして今からの時間を充実させていきましょう。10日(月)5限の対面式に約束もなしに集まれる喜びをイメージして始業式の式辞といたします。
2023.03.20 UP
- 3月20日(月)修了式「自立への入り口~他者を尊敬する」
- 世界は終息を見せないコロナ禍の喧騒が続き、更にはウクライナ情勢やトルコ地震で揺れ動いています。そんな中、大分国際情報高校の3年間で自分なりの自立を果たした73名の3年生が、先日自分の選んだ新たなる道に羽ばたいていきました。特に最後の1年間の自立への成長速度は驚くべき速さであったと感じました。
この1年、本校は多くの制約を受け、教育活動のいたるところで我慢を強いられ生徒の心身の健康への影響も不安視されましたが、生徒・教職員が心を一つにして乗り切ってきました。
そして、コロナ禍にしてもウクライナ情勢やトルコ地震にしても、世界中の人々が一つにならないととても解決できないことを思い知らされました。
本日、平穏に修了式を迎えられたのも、皆さんを含めた世界中の人々の努力の賜物であるとも思えます。
皆さんは、進級した来年度4月6日(木)から新しいステップを踏み未来に備えます。
この誰も経験したことのない情勢の中、若い皆さんの自立への成長を願い、また他者や社会への貢献ができるスキルと心の豊かさの修得を期待し、多くの方々が皆さんの日常の努力に対して様々な支援や助言にあたります。
しかし「自立」への道は、自分から動かなくては身に付きません。明日からの春休み、自立に向けて、具体的にはどこから始めればいいのか。
自立への入り口は、①自分の現状の理解②自分の行動に責任を持つ③他者の気持ちを考える3点と言われています。特に③番目の他者理解は、具体的には「他者を尊敬すること」であると考えます。自立は自分の枠内ではなく他者の存在の中で育まれていくものです。
特定の他者を尊敬するのではなく家族や友人、通りすがりの見知らぬ人々、更には生涯会うことのない異国の人々までありとあらゆる他者を尊敬するのです。ナチスの迫害を逃れドイツからアメリカへ渡った社会心理学者のエーリッヒ・フロムはこう言ってます。
「尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである」
世界にたった一人しかいないかけがえのない「その人」をありのままに見ること、そして、その人がその人らしく成長発展していけるよう気遣うこと、それが「尊敬」であると述べています。尊敬respectの語源となるラテン語respicioには「見る」という意味があります。
他者をよく見て、何一つ否定せず、何一つ強要せずありのままのその人らしさを受け入れ尊敬する。つまり他者を尊敬しつつ、他者に関心を寄せていく。すなわち「他者の関心事」に関心を寄せる。その時に他者は自分は一人の人間として尊敬されていると実感します。
その心豊かな他者に囲まれて、心身の自立・将来の職場や家庭での自立・経済的自立を図っていってください。
明日から新年度始業式までの期間、社会情勢も大きく動くことでしょうが、一日を決して無駄にせず、今を大切にし、自立に向けて自ら動く成長の春休みにしていきましょう。
2023.03.01 UP
- 令和4年度第66回卒業式式辞
- 中学校での卒業式からあっという間の3年・・・・前方に見える自分の未来に繋がる道を、いよいよ一人で歩き始めようとする晴れがましい旅立ちの日、学校法人渡邊学園大分国際情報高等学校第66回卒業式を挙行できますことは、誠に光栄の至りと心から感謝を申し上げます。
ただいま73名に卒業証書を授与いたしました。皆さん、卒業おめでとうございます。
朝や帰りのホームルーム、気の知れた仲間と受けた数多くの授業、部活動、学園祭、そして進路への挑戦・・・
中学3年次3学期から突然始まったコロナ禍。その真っただ中にさらされたこの学年は、入学直後の親睦行事が中止となり、5月からは分散登校を強いられる等、マスク越しの厳しい環境の中での前代未聞の高校生活でした。
しかし、この三年間皆さんは失敗を恐れず立ちはだかる壁を登り続け、限界まで努力する自分の能力を信じて、夢を追いかけてきました。
とくに授業や検定取得への意欲は素晴らしく、工業科の生徒・教員が一丸となって補習や課題に取組み、情報技術社会に飛び込む各々の礎を築きました。普通科クラスも難解な授業内容に対して互いに切磋琢磨しながら、粘り強くそして元気に授業に取組む姿が多々見られました。
1年次のクラス動画作成、2年次は松栄山公園での親睦オリエンテーションや大洲での学園祭の要素を取り入れた体育大会、そして3年次の城島高原パークとコロナ禍の中での制限のかかった行事でしたが、はじける笑顔で心温まる表情を見せてくれました。
これらの取組みや活動は、皆さんにとって、生涯の財産であり心の糧となることでしょう。今後は、資格取得や進路決定そして卒業がゴールではなく、大分国際情報高校で培った力によって、将来の自分の居場所となる職場や地域で多くの人に慕われ、頼りにされ、生き生きと活躍することがゴールであると考えて前に進んでいってください。
社会に目を向けてみますと、コロナ禍の中での経済活動の低迷、地球温暖化に伴う異常気象での災害、混沌とした国際情勢と近隣諸国との緊張状態、地方創生の推進、少子高齢化に伴う人材不足・・・・今も日本は厳しい状況が続いていますが、徐々に混迷から安定・発展へと日本社会は確実に進んでいます。
明日からは社会と対峙し社会に貢献していく生活が始まります。大人の仲間入りは様々な困難との出会いでもあります。
偉大な英国人第一位に選ばれたこともあるウィンストン・チャーチルはこう言っています。「困難に立ち向かえば困難は半分に感じられ、逃げれば倍になって迫ってくる」と。 困難に立ち向かうためには、大人としての知識や教養が必要です。
ある弁護士が、昨今大きな社会問題となっている「ブラックバイト」を例に挙げ、「学生生活が破綻。それでも抵抗しない学生たち」と題して以下のように述べています。
学生の労働知識不足は深刻。企業や社会で「適応」ばかり教え、「抵抗」を教えない。その結果、被害者である学生たち自身が、置かれている状況の異常さを認識できないと。
また、今年は4月の任期満了に伴う大分県知事選挙・大分県議会選挙・大分市長選挙が予定されていますが、2015年から選挙権年齢が18才以上に引き下げられ、いよいよ皆さんも有権者となります。自分の暮らしている地域や日本・世界の未来について考え、国家・社会の責任ある形成者として、主体的に社会に参画していく事が求められます。
労働知識や政治的教養を含めた、大人としての常識をしっかり身につけて困難に立ち向かってください。
また、学校生活で多くの人と出会い交流して培ってきた経験を活かし、一日一日、最善を尽くし、粘り強く生きていってください。皆さんなら きっと困難を乗り越えることが出来ると信じています。
最後に、保護者の皆様方へひとこと申し上げます。本日のご卒業、誠におめでとうございます。子育てのスタートから今日までの偉大なストーリーに敬意を表します。また、保護者の会の活動での温かいご支援に対してもお礼申し上げます。
全教職員一丸となって勤労観・職業観の育成を軸に、社会の荒波を生き抜く力の育成に全力を注ぎ教育して参りました。何かとご苦労やご心配も多かったことと思いますが、本校の教育に深いご理解とご協力をいただきありがとうございました。今後とも本校への変わらぬご支援をいただきますようお願いいたします。
さあ旅立ちの時、卒業生の皆さんの今後の限りない発展とご活躍を祈念いたしまして式辞と致します。
2023年令和5年3月1日
学校法人渡邊学園 大分国際情報高等学校
校長 木戸孝明
2023.02.06 UP
- 「高校卒業までになすべきこと」
- 1月31日(火)より、3年生が自宅学習期間に入り、一般入試後の本日は少し寂しい感じがする日となりました。3月1日(水)の第66回卒業式を控え、新しい場所で新たな生活が始まる3年生の旅立ちの準備にエールを送りたい気持ちになります。
在校生の皆さんもこの時期、自分の進む道がおぼろげながら見えてきた人もいることでしょう。未来に待ち受ける大人社会は、皆さんの世代をどのように見ているのでしょうか。
ある機関誌は就職戦線を勝ち抜いた「就活エリート」の特徴を、少し厳しい見方で次のように述べています。
①失敗を極度に恐れる。
②自分の能力を棚に上げて要求ばかりする。
③自分が思い描いた環境から外れるとモチベーションが急落する。
④自分の理想とかけ離れた現実に直面すると、そのギャップに絶えられずアイデンティティが崩壊してしまう。
さらになぜそうなったかについて続けて次のように述べています。
コミュニケーション能力などに優れた就活エリートは、ゲーム感覚で難なく面接をくぐ り抜ける。結果、「ゲームに勝つために作りあげた自己像」に逆に縛られてしまう。
高校や進学先での就職戦線を勝ち抜いたとしても、新しい場所での新たな生活でうわべを取り繕っても大人社会に見透かされてしまう現象が多くみられます。自分を必要以上に大きく見せず、失敗を恐れず、組織から与えられた課題に立ち向かい、困難な場面では仲間とともに自分を失わず前進していく姿が大人社会では求められています。
うわべの努力だけでは、モチベーションも上がらず学習中も眠くなってしまうことでしょう。高校卒業までの期間に何をすべきかわからなくなってしまう時、今何が課題なのかを自ら考え自ら解決のために行動できるかが鍵となります。今一度、自ら一歩踏み出して行動することを考えてみてください。更には自分でストレスをコントロールする力をつけコミュニケーション能力の育成につなげてみてください。
皆さんも3年生のこの時期には、その努力が自信となって充実した卒業式を迎えてほしいと願います。
2023.01.10 UP
- 令和4年度三学期始業式式辞「新しい出会いの準備を」(放送)
- コロナ禍・円安・ウクライナ情勢等混迷の一途を辿った2022年令和4年及び12月24日から17日間の冬期休業を終え、いよいよ2023年令和5年3学期の高校生活が始まります。3年生は卒業考査の3日間を含め11日間の登校の末、1月31日(火)から家庭学習期間に入り3月1日(月)の第66回卒業式と4月からの新生活に備えます。2年生は予断を許さないコロナ禍での社会情勢を見ながら、3年生0学期としていよいよ動き出す進路活動に備えます。1年生は入学以来コロナ禍による混迷の高校生活の中、初めての3学期を迎え次の学年へ上がる準備をします。厳しい寒さと次のステップに向けた慌ただしい準備でのあっという間の3学期を、多種多様な心豊かな人材が集まって学校生活を送る喜びを再確認して、希望溢れる桜満開の春に向けて、充実した日々にしていきましょう。
さて、4月に迎える本校の新入生対象に1月17日(火)には奨学生入試、2月2日(木)には一般入試がコロナ禍の中ではありますが本校で実施されます。皆さんも含めた関係者全員の協力のもと徹底した感染対策を行い、受験生が安心して受験できる環境を用意する必要があります。教室・廊下・トイレ等の学校施設をこれまで以上に大切に使用し、人と人との間のソーシャルディスタンスに心を配る3学期の学校生活をお願いします。コロナ禍の中、前代未聞の中学校生活を送っている受験生の困難に必死に立ち向かっていく努力に対して敬意を表していきましょう。そして4月に咲き誇る満開の桜を、生きている喜びの象徴として捉え、満面の笑顔で新1年生との新しい出会いを迎えましょう。
3年生の皆さん、皆さんも4月には新しい出会いを迎えます。人によってはその出会いが一生の付き合いになるかもしれません。この社会には心豊かな人たちがたくさんいるのだな~と強く感じることでしょう。今日からの3か月間を大切に生きて、内面からほとばしる人としての魅力を自らの心の豊かさを通して磨いていきましょう。皆さんの若さ満ち溢れる自然な振る舞いは、きっと新しく出会う心豊かな人々に響くことになるでしょう。
大分国際情報高校での2023年令和5年のスタートの3か月の学校生活を通して、集団の力でポジティブな雰囲気を醸成し、年末年始の間、自分なりに思い悩み深く考えた貴重な自分の未来の夢に向けて、勇気ある行動を主体的に起こしていくことを期待して3学期の冒頭の挨拶といたします。
2022.12.23 UP
- 二学期終業式式辞「季節の歩みを感じながら」(放送)
- 熱中症とコロナ禍で振り回された夏の日々の後の「秋の日和」もあっという間に冬本番、何かと慌ただしい年末の日々に変わってきました。3年生は大人の階段を着実に上りながらその先の「卒業」がうっすらと見えてくる時期でもあります。
7月8日の選挙期間中に銃撃を受けて亡くなった安部元総理大臣の国葬が賛否両論ある中でしたが、9月27日火曜日に武道館で執り行われました。その際の第2次安部内閣で官房長官を務めていた菅義偉(よしひで)前総理大臣の友人代表弔辞が印象的でした。
菅氏は正面に掲げられた安部氏の遺影に深く礼をしたあと、こう話し始めました。
七月の八日でした。 信じられない一報を耳にし、とにかく一命をとりとめてほしい。 あなたにお目にかかりたい、同じ空間で同じ空気を共にしたい。 その一心で現地に向かい、そして、あなたならではのあたたかなほほえみに最後の一瞬接することができました。 あの運命の日から八十日が経ってしまいました。 あれからも朝は来て、日は暮れていきます。 やかましかったセミは、いつのまにか鳴りをひそめ、高い空には秋の雲がたなびくようになりました。 季節は歩みを進めます。 あなたという人がいないのに時は過ぎる。 無情にも過ぎていくことに、私はいまだに許せないものを覚えます。 天はなぜ、よりにもよって、このような悲劇を現実にし、命を失ってはならない人から、生命を召し上げてしまったのか。 口惜しくてなりません。
刻々と流れる時の中で、同じ空間で共に生きることの清々しさと切なさがひしひしと感じられる語り掛けでした。過去を振り返ってばかりでなく、未来を心配するだけでなく、今を精一杯生きることで初めて感じとることができる清々しさと切なさであると思います。
18年間はあっという間ですが、高校卒業後も季節は淡々と歩みを進めていきます。
今この瞬間を最善を尽くして生きていく素晴らしさを感じ取ってほしいと願います。
同じ空気を共にしている仲間たちと、年末年始を清々しく生きていきましょう。
2023年令和5年1月10日(火)、3学期始業日での皆さんのはじける笑顔を期待して2学期終業式の挨拶といたします。
2022.11.07 UP
- 11月7日(月)全校朝会「組織の一員としての休息」(放送)
- 幼いころ、庭にあったアリの巣をスコップで掘り返したことがありました。突然の巣の崩壊に遭遇したアリたちが慌てた素振りで右往左往していた光景が焼き付いています。しかし、数日後、巣は修復されていました。きっと人間社会と同じように組織力を駆使して急ぎ修復したのでしょう。
人間社会は、突然災害に見舞われても、すぐに修復作業に入ることができます。災害を想定して前もって組織化がなされているからです。更には日常的に健康に留意し基本的生活習慣が身についていて、突然の災害に対応できる体力を常に保持していることも大切な要素と考えます。
アリの健康管理はどうなっているのでしょう。働きすぎて疲労がたまっていると突然の修復作業に支障をきたしてしまう時もあるのでしょうか。皆さんの大半は聴いたことがあると思いますが、すべてのアリが労働しているのではなく、7割ほどのアリは何もしていないといいます。しかし、巣に餌を運ぶとか卵を守るとかいったこと以外に、豪雨や子どもたちのイタズラによって、突然の巣の崩壊に遭ったときに、急ぎ修復する作業が必要であり、そういったときにこれらのアリが活躍します。そういう余力を残していないと、組織は長続きしないといいます。
緊急時、アリたちが全員一斉に立ち向かっていくと一時的には作業効率もいいし成果も上がりやすいでしょうが、あるところから一気に作業効率が下がり、その集団は早期に死滅してしまう確率が高くなるといいます。なぜなら、アリも動物である以上は、疲労という事実からは逃げられないからです。アリの場合、このような状態になったとき、それまで休息していたアリが、俄然として働き始めます。一斉に疲労すると、組織の中の労働力がゼロになってしまいますが、今まで「働かなかった個体がいる」場合には、回復して働くことで労働力がゼロになることがありません。
「高度な判断能力をもたず、刺激に対して単純な反応をすることしかできないムシたちが、刻々と変わる状況に対応して組織を動かすためには、様々な状況に対応可能な一種の『余力』が必要になります。その余力として存在するのが働かないアリとだと言えるでしょう。ただし彼らは『働きたくないから働かない』わけではありません。みんな働く意欲はもっており、状況が整えば立派に働くことができます。それでもなお、全員一斉に働いてしまうことのないシステムを用意する。
一人の人間としても、一つの組織としても「ゆとり」や「余裕」に相当する部分がない とギスギスします。組織は、休息により体力を維持しかつ様々な個性を生かしながらバランスよく分業することによって、激しい変化にも柔軟に対応が可能になるといえます。
他者や社会の役に立っていると感じることが、生きる意味に繋がることを前にお話ししました。皆さんの未来に所属する組織で、他者とは異なる自分らしい個性を大切にして、組織での突然の変化の際に力を発揮できるといいですね。